日本人はどこから来たのか1(No.53)

更新日:2017年07月08日

はざみ山遺跡

平成6年7月24日(日曜日)生涯学習センターがオープンしました。館内にはささやかですが、原始・古代史の展示コーナーも設けられています。今回から展示をご覧になられたかたがたから寄せられた疑問にお答えしていきたいと思います。
まず、最初は藤ケ丘にお住まいの主婦からの疑問です。「だいぶ前ですが、藤ヶ丘で旧石器時代の住居が見つかったと大騒ぎになりましたが、そのときから疑問に思っていたんですが、最初の日本人はどこから来たのでしょうか」
最初にしては、すごく難しい問題です。この問題を解くには、大きくいって二つの方法があります。一つは最初の日本人が使っていた石器などを研究する考古学による方法です。もう一つは、旧石器時代人の骨から直接探っていく人類学的な方法があります。どちらも同時代の東アジアの資料との比較がポイントになることは共通しています。また、比較できる資料もそれほど数多くなく、結論が出ていない点もよく似ています。
今回はこの問題を人骨に語ってもらうことにします。登場する主役は、沖縄県具志頭(ぐしかみ)村港川出身の男性です。彼のプロフィールを紹介します。
生まれたのは今から約18000年前、身長は、153センチメートルと現代人と比べるとずいぶん小柄です。肩幅は狭く、背骨も細く上半身はきゃしゃな印象を受けます。しかし、腰から下はしっかりしていて、特にひざから下のけい骨とひ骨は頑丈にできており、足の骨も大きいのです。食料を求めて荒れた山野を駆けめぐるには強い足腰が必要だったのでしょう。
次は彼の頭と顔つきに注意を向けてみましょう。彼の頭は、球形に近い現代人と比べると、上下に低く、左右に広い、そして前後に長いのです。頭の大きさは、身長との関係でみれば、現代人とあまり変わらないのですが、骨が厚い分、脳の容量は少なめです。
ただし、誤解のないようにいっておきますが、脳の容量が少ないといっても、知能が劣っていることを意味するのではありません。現代人にも頭の大きい人と小さい人がいます。頭の大きさが知能とは関係ないのと同じです。
顔つきはどうでしょう。前から見ると、上下に短く幅が広く、角張った顔をしています。額は狭く、頬の骨が横に張り出していて、こめかみのくぼみが大きい特徴があります。下あごの骨もよく発達しており、計算すると、彼のものを噛む力は現代人の3倍も強かったと推定されるのです。

写真:旧石器時代の住居跡の復元 はざみ山遺跡(大阪府教育委員会提供)

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