石器はどうして作ったのか(No.56)

更新日:2013年12月18日

システマチックな石器づくり

その条件は、石器の作り方に一定の規則性が認められるかどうか、ということです。何も手を加えない自然のサヌカイトの塊から石器ができあがるまでの過程を説明できるかということになります。
では、国府遺跡から出土したナイフ形石器について調べてみましょう。昭和33年に国府遺跡を発掘調査した岡山理科大学の鎌木義昌さんは、出土したたくさんのサヌカイトの破片を丹念に整理し、ナイフ形石器ができあがるまでの順序を突き止めたのです。そして、この石器作りの工程を「瀬戸内技法」、できた石器を「国府型ナイフ形石器」と呼ぼうと提唱されました。
瀬戸内技法を少し詳しく説明することにしましょう。まず、サヌカイトの自然の塊を石のハンマーを使って大割りします[第1工程]。割り取られた破片(盤状剥片)に細かい調整をしたのち、さらに一撃を加え薄い破片(翼状剥片)を割り取る[第2工程]。薄い破片に仕上げの細工をほどこしてナイフ形石器ができあがります[第3工程]。
第2工程の作業を繰り返すことで、次々と同じような形・大きさの薄い破片を割り取ることができるのです。瀬戸内技法は、サヌカイトの石としての性質を理解し、効率的に石器を作り出すために旧石器人が考え出したのです。サヌカイトを石材とする瀬戸内海沿岸地域には、この瀬戸内技法を使った石器の出土が知られています。
旧石器時代の石器が、システマチックに作られていることを納得していただけたでしょうか。

イラスト:システマチックな石器づくり

『広報ふじいでら』第306号 1994年11月号より

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