現地説明会を前に(No.19)

更新日:2013年12月19日

空から見た西墓山古墳の調査区(左上方:浄元寺山、右上方:墓山)

光波測距機とコンピュータを使った測量は順調に進み、調査がようやく軌道にのってきました。このころから古市古墳群で大変なものが発見されたというニュースを聞きつけた市民や研究者の見学が増えてきました。担当者は、見学者の応対に丸1日費やす日が続くようになってきました。
調査日程を見計らって、現地説明会開催の計画をたてることにしました。現地説明会は、発掘調査で重要な発見があったとき随時開催します。古代史に関心をもつ市民や研究者にとって現地説明会は、発掘された遺構をじかに見学できる貴重な機会となります。
わたしたちのこれまでの現地説明会では、300人程度の見学者が一般的だったのです。しかし、今回はマスコミもセンセーショナルに取り上げそうなので、修羅の発掘やはざみ山遺跡の旧石器時代の住居址の発見に匹敵する大勢の人出が予想されたのです。
2000人ほどの見学者の来訪を予測して、計画をたてることにしました。
当日までの準備として、調査成果を簡潔にまとめたパンフレットを印刷し、地元地区や警察署にも説明会開催の了解と協力をお願いにまわりました。現場の夜間警備は、予算をやりくりしてガードマンに託すことにしました。
現場説明会は6月12日に開催することを決定し、6月9日には、調査成果をマスコミ各社に発表することになりました。2時から記者発表を始めましたが、取材は深夜におよびました。翌日、新聞各社は競うように西墓山古墳での大量の鉄器発見を大々的に報じました。「河内王朝」「大王の権力」「副葬用陪塚」「倭の五王」など大見出しの文字が紙面を飾っていました。テレビ取材も行われ、西墓山古墳の上空にはヘリコプターが飛び回り、周辺は一種騒然とした雰囲気に包まれました。
説明会の前日には、見学者用通路を設置したり、机や椅子を運び込んで当日に備えました。この時点では調査関係者の間で人出を見込んで「たこやきの店を出したら、ようもうかるで」とジョークをとばす余裕もあったのです。

写真:空から見た西墓山古墳の調査区(左上方:浄元寺山、右上方:墓山)

『広報ふじいでら』第269号 1991年10月号より

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