長蛇の現地説明会(No.5)

更新日:2013年12月18日

長蛇の現地見学会

昭和53年4月5日、読売新聞が「巨石運んだ木ゾリ発掘─5世紀のダンプカー─」と夕刊のトップ記事として報道しました。翌日にはほかの新聞とテレビ報道も加わり、修羅出土のニュースは全国を駆け巡ったのです。
現地説明会は、4月15日に開催することになりました。大阪府教育委員会の田代係長や高島技師は、それまでの間、現場の段取りに加え、各方面の研究者やマスコミ関係者の応対に、まさに阿修羅のように飛び回らなければなりませんでした。
見学者用の通路の設置や、パンフレットが準備できたのは、説明会の前日でした。説明会当日は、かなりの人出を予想して、府教委の文化財保護課のほとんど全員の技師が、会場内外の交通整理に当たることになりました。
4月15日の朝から調査区の周辺は、報道関係のヘリコプターが上空をせわしげに旋回する、一種騒然とした雰囲気に包まれていました。
午前10時ごろには、調査区のまわりに人垣ができ始め、説明会の人出はさらに増し、11時には、近鉄土師の里駅に向けた行列となっていました。予想をはるかに上回る人出に、説明会の開始時刻を1時間早め午後1時からとしました。見学者のなかには、関東や九州からの遠来組を混じえていたのですが、修羅との対面時間は、およそ30秒という短いものになってしまいました。それでも見学者の多くは、巨大な木ゾリを目の当たりにして、満足げに帰途についたのです。
羽曳野警察署の発表によれば、当日の見学者数は12000人という。まさに空前絶後の現地説明会でした。田代係長をはじめとする大阪府教育委員会のスタッフは、大きな事故もなく説明会を終えることができて、ほっと一息入れました。
しかし、急を要する修羅の保存処理については、まだ明確な見通しが立っていませんでした。問題は、壊さずに取り上げることができるか、既成の大型保存処理槽にも入りきらないこと、そして一連の処理に要する予算がないことでした。まさに無から有を生じさせなければならないこの大問題の解決は、修羅の圧倒的な大衆人気が頼りだった、と田代係長がのちに漏らしていました。

写真:長蛇の現地見学会(読売新聞大阪本社提供)

『広報ふじいでら』第255号 1990年8月号より

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