道明寺のもくげんじ 大阪府指定文化財(天然記念物)指定解除年月日:令和3年3月11日

更新日:2021年03月16日

道明寺天満宮の西の宮にあるもくげんじ

道明寺天満宮の西の宮にあるもくげんじ
道明寺・道明寺天満宮周辺には、菅原道真公の伝承が数多く語り伝えられています。では、道明寺のもくげんじを中心に紹介します。

道明寺・道明寺天満宮周辺には、菅原道真公ゆかりの言い伝えが数多く遺されています。
こうした言い伝えを簡単に紹介してみましょう。
道真公は光孝天皇元慶8年(884年)に、この道明寺で五部の大乗経を書き写されました。(このころの道明寺(土師寺)は、現在の道明寺天満宮の石段の南側にありました。)この経文の写経の際に、硯の水を寺の北側にある井戸まで汲みにいっておられました。硯の水がなくなったときに、二人の子供が現われ、硯の水を汲んでくれました。このため道真公は、写経を早く終わらせることができたと伝えられています。また、その経文の納める場所にお困りのとき、3人の僧の姿をした神様が現われ、「我等こそ、伊勢、八幡、春日の三神なり」と講堂の西の方を指して消えてしまいました。このため道真公は、書き写した五部の大乗経を神様の指した講堂の西側に埋めました。この大乗経を納めたところから、数年後にもくげんじが育ったと伝えられています。
その後、鎌倉の田代寺の尊性上人が信州善光寺に参詣のおり「河内土師寺のもくげんじの実で数珠を作り、念仏百万回唱えると極楽往生が叶う」と霊夢によって効験が告げられたとされています。こうした伝承をもとに、中世末に謡曲「道明寺」が作られました。この謡曲「道明寺」の作者が世阿弥であるとする説があります。
これらの言い伝えとともに、道真公ゆかりの古跡が伝えられています。道真公が、大乗経を書き写すときに使われた硯が、前回紹介しました国宝に指定されている菅公遺品の青白磁円硯であり、硯の水を汲んだ井戸が、「夏水井」であると伝えられています。「夏水井」は、現在道明寺天満宮石段の東側の崖下に残っており、井戸枠に「夏水井」と彫られています。
謡曲で親しまれているもくげんじは、現在土師寺五重塔塔心礎の西側にある西の宮の境内に育っています。もくげんじは、落葉樹で、6月下旬に黄色い花を咲かせ、秋には直径6ミリ程度の褐色の丸い実をつけます。この実はきれいな球形で、数珠のような形をしていることからこのような言い伝えが生まれたと考えられます。このもくげんじは、現在で数代目になりますが、こうした伝承をもつことから、昭和45年に「道明寺のもくげんじ」として府指定の天然記念物に指定されています。

教育広報『萌芽』第10号:平成7年2月号より

府指定の天然記念物『道明寺のもくげんじ』は、令和3年3月11日に指定解除になりました。

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