見えた埋葬施設の輪郭(No.15)

更新日:2013年12月19日

輪郭を現した西墓山古墳の埋葬施設

内部施設の輪郭を見つける作業は、丸2日にわたって続けたのですが、どうも納得のいくラインを引くことができませんでした。そこで、調査関係者内で話し合い、古墳の調査に経験豊かな研究者の応援を求めることに決定しました。
応援団には、立命館大学の和田晴吾助教授と、大阪府教育委員会の広瀬和雄主査にお願いすることにしました。幸い、応援団の先生がたは、わたしたちのSOSを受信し、多忙な日程を割いて、直ちに現地に出向くことを快諾してくださいました。
両先生は、ほぼ1日、わたしたちとお付き合いいただくことになりました。地面に水をまき、丁寧に土を削り、土の色の変化を追いかけました。あるときは地面に寝転がり、またあるときは写真撮影用に組み立てたやぐらに駆け登り、観察を繰り返しました。先生がたの献身的なご協力もあって、作業開始から6日目には、内部施設の輪郭をとらえることに成功しました。
見つかった内部施設は、古墳のほぼ中央に位置しており、南北に長い長方形をしていることが分かりました。大きさは、南北7.8メートル、東西3.2メートルを測りました。この大きな長方形の穴の中には、長大な棺おけが納められていることが推測されます。したがって第二段階の作業として、この棺おけの痕跡を探すことになりました。この作業は意外とスムーズに進み、翌日には穴の中に長さ約6メートル、幅約60センチの細長い棺おけ2基が、東西に並んで埋められていたことを知ることができました。
こうして、内部施設の輪郭をとらえる作業は、1週間かかってようやく終えることができたのです。はた目には、全く地味で気の遠くなるような作業と観察の繰り返しなのですが、発掘調査では、最も気合を入れて取り組まなければならない重要な過程なのです。この時点で、万一失敗があれば、以降の調査は、まず見込みが立たないことになるのです。
わたしたちは、ようやく棺おけの内部の発掘に取りかかる段階にまでこぎつけたのです。

写真:輪郭を現した西墓山古墳の埋葬施設

『広報ふじいでら』第265号 1991年6月号より

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