三千人の見学者(No.20)

更新日:2013年12月19日

現地説明会の風景

現地説明会の前日は、午後3時過ぎから雨が降り始めました。夕方には雨足が強まり、説明会ができるかどうか気をもむほどの空模様となりました。天気予報は「曇り、ところにより雨」イライラは増すばかりです。
一夜あけた6月12日、幸い早朝には雨が上がり、曇り空ながら説明会の開催が可能となりました。スタッフは9時に現場に集合し、早速準備にかかりました。雨水をかいだし、机や椅子をセットし、看板を立てました。パンフレットも2500部用意しました。準備作業は約1時間で完了しました。
このころになると、調査区のまわりに100人ほどの見学者が集まってきました。10時半ごろには、その数は300人ほどに膨れ上がり、さらにどんどん増えてきました。「説明会は午後1時からです」とマイク放送してみたものの一向に立ち去る気配はありません。調査区の北側の児童公園はすでに人で埋まり、さらに北側の浄元寺山古墳の墳丘にも多くの人が登って、説明会の開始を待っていました。これ以上人が集まると不測の事故が起きるのではと心配になってきました。急きょ開始時刻を11時に繰り上げることにしました。
鉄器が出土した主体部を一巡する見学ルートを通るには、一列になっていただかなくてはなりません。はたして黒山のようになった見学者がスタッフの誘導に従ってくれるだろうか不安になってきました。不安をよそに見学者の皆さんは整然と指示を守ってくださり一安心したのです。開始後2時間が経過しても一向に人波は衰えません。よく考えると新聞やテレビで予告した説明会の開催時刻は午後1時だったのです。この時点で、2500部用意したパンフレットの約半分がなくなっていたのです。急きょ増刷をするために、スタッフ2人が市役所に走りました。
午後4時になってようやく喧騒が収まってきました。途端にお腹の虫がけたたましく鳴きだしました。昼食を食べていなかったのです。このころにはスタッフにも余裕がでてきて、見学者とのやり取りにあちこちで華が咲いていました。わたしが質問を受けた5人組の初老のご婦人がたは、遠路千葉市から夜行バスで来られたということです。
午後5時には何とか事故もなく説明会を終えることができました。見学者およそ3000人でした。

写真:現地説明会の風景

『広報ふじいでら』第270号 1991年11月号より

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