円筒埴輪の編年

更新日:2013年12月22日

円筒埴輪編年表(川西宏幸「円筒埴輪総論」『考古学雑誌』64-2 1978 一部改変)

円筒埴輪編年表
(川西宏幸「円筒埴輪総論」『考古学雑誌』64-2:1978:一部改変)

川西教授の円筒埴輪研究の成果は、昭和53年『考古学雑誌』第64巻2号に「円筒埴輪総論」として発表されました。この論文に掲載された古墳の編年表は、全国の古墳研究者を驚かす内容を含んでいました。
それまでの古墳研究では、応神(おうじん)天皇陵、仁徳(にんとく)天皇陵は、古墳名と被葬者(ひそうしゃ)が確実に一致する古墳として、それぞれ4世紀末と5世紀初頭の基準古墳とされてきたのです。ところが、川西教授の研究によれば、両古墳に使われている円筒埴輪は第IV期に属し、その年代は5世紀中葉をさかのぼることはないというものでした。川西論文に接した古墳研究者の反応は様々でした。無視しようとする者、学問的な手続きに誤りがあると主張するもの、諸手を挙げて賛同する者、そしてその内容をより精緻に深化させようと試みる者。
結論から申し上げると、川西教授の提唱した円筒埴輪編年は、その後全国各地の円筒埴輪研究の中で検討され、その大綱の正しさが立証されることになるのです。
円筒埴輪が古墳の築造年代を計る物差しに利用することができれば、これまで古墳の形や陵墓名を頼りに年代を求めていた巨大な前方後円墳により確実な年代を与えることが可能となるのです。
円筒埴輪編年という新しい年代決定法を手に入れた考古学は、古墳時代の社会構造や政治形態、文化の態様など様々な課題に挑戦する下地ができたのです。

教育広報『萌芽』第6号:平成5年2月号より

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