石棺のいろいろ

更新日:2013年12月22日

柏原市安福寺保管の石棺(柏原市教育委員会)

柏原市安福寺保管の石棺
(柏原市教育委員会)

前回まで長持山(ながもちやま)古墳の家形石棺、津堂城山(つどうしろやま)古墳の長持形石棺など藤井寺市に関連する石棺の話を紹介してきました。
石棺にはこれら以外にも箱式石棺、割竹形(わりだけがた)石棺、舟形石棺などがあります。これらは古墳時代の一時期に使用されるものや、弥生時代から続き古墳時代全般まで続くものまであります。今回からはほかの種類の石棺についても話してみたいと思います。
箱式石棺
箱式石棺は最も簡単な組み合わせ式の石棺です。片岩(へんがん)や安山岩(あんざんがん)などの扁平な板石を石材として、側石と小口石を組み合わせ、箱形に作ったものですが、板石の使用数は古墳によって異なり一定しません。ほとんどのものが底石や蓋石を伴いますが、底に礫を敷いただけのものもあります。弥生時代以来の系譜を引き継ぎ古墳時代を通じて使われ、ほぼ全国的に広がっています。大阪府内では茨木市海北塚(かいぼうづか)古墳の横穴式石室内に納められたものが有名です。底、蓋、各側面を1枚の板石6枚で組み合わせたもので、板石は和歌山県ないし徳島県方面の片岩でできています。
割竹形石棺
割竹形石棺は細長い刳抜(くりぬき)式の石棺で、小口面に縄掛け突起(なわかけとっき)がつく例が多くあります。断面形が円形で、丸竹を縦割りにして蓋と身とに成したようになっています。これは自然の丸太材を利用した棺(割竹形木棺)を石によって表現したものと考えられます。古墳時代前期に流行しますが、出土例は極めて少ないものです。付近では柏原市玉手山3号墳から出土したといわれているものが、横穴で有名な玉手町の安福寺(あんぷくじ)で保管展示されています。これは蓋だけで身は現在も墳丘に埋もれていると思われます。香川県の鷲の山(わしのやま)産の石でできており、身と蓋との合わせ目付近の側面には直線と円弧を組み合わせた模様の直弧紋(ちょっこもん)が彫刻されています。
舟形石棺
舟形石棺は断面が舟状に扁平になっているところが割竹形石棺と異なりますが、刳抜式の石棺で縄掛け突起をもつものが多いことなど形態的に近いものもあり、主に前期古墳から出土することなど時期的にも同じことから、両者は同じ系譜上のものと考えられています。また、身の断面が細長い箱形になり、蓋が屋根形のものは、今まで家形石棺の範疇に入れていましたが、最近では、系譜上、舟形石棺として扱うほうが合理的とされています。したがって以前説明した長持山古墳1号棺も舟形石棺と考えることがあります。

教育広報『萌芽』第12号:平成8年2月号より

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