100年計画(ふじいでら歴史紀行29)

更新日:2016年03月31日

昨年9月に世界遺産暫定一覧表に記載が適当とされた5つの文化資産の内、「佐渡」と「百舌鳥・古市古墳群」を除く3つの資産については、既に暫定リストへ登録されました。「百舌鳥・古市古墳群」については、2009年度中に暫定登録一覧表へ登載されるように与えられた条件を整理し、暫定リストへの登録を目指しています。暫定リストへ登録されると、その後暫定一覧表登載資産のうち、条件が整った資産について推薦書を作成し、世界遺産委員会に推薦書を提出することになります。

与えられた条件の中では、先月もお話した都市化の進んだ周辺環境の中、いかに古墳を保護していくかが大きな課題として挙げられています。

こうした古墳の保護や活用について、昨年度大阪芸術大学環境デザイン学科との協働事業の中で、さまざまな取り組み方法や斬新な意見を聞くことができました。環境デザイン学科の3回生の学生が道明寺地区の歴史的資産を活用した都市デザイン事例を考え、3月に市役所ロビーで公開されました。

大学生の斬新な意見の中には、陵墓のフェンスを後退させ、陵墓の周囲を巡れるようにするなど非常に興味深い意見や、濠の中で山羊を飼うことによって雑草対策にするなど奇想天外のアイデアもありました。
「100年計画」と題された齋藤綾悟さんの発表は、今後の藤井寺市の都市計画を考える興味深いものでした。齋藤さんは都市を計画する際に、5年10年といった短い期間で考えるのではなく、50年100年200年といった長い期間で考え、よりよい環境を子供たちに残すように考え計画する必要があるといった都市計画の基本的な考えや、古墳と古墳の間を公園化し一つの公園とすることによって、入れる古墳(史跡)と入れない古墳(陵墓)の意味が際立つことなどが述べられていました。

実現困難なことでも、今後の藤井寺市の将来像をしっかりとふまえた上で、都市と古墳の共生を目指し、長期にわたる計画を立て、少しずつ実行していくことが、古市古墳群を後世によりよい環境で残していく方法であり、藤井寺市の都市環境をよくしていく方法です。こうしたことこそ、世界遺産を目指す空中楼閣のような壮大なプロジェクトを現実にしていく唯一の方法だと思っています。

大阪芸術大学環境デザイン学科・齋藤綾悟さんの「100年計画」

『広報ふじいでら』第481号 2009年6月号より

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