修羅の保存処理(No.6)

更新日:2013年12月18日

保存処理中の大修羅

今回は、修羅の施された保存処理の話題を追ってみたいと思います。
地下から出土する遺物は、土器や石器、あるいは瓦や埴輪といったものが代表的です。ただ代表的でありますが、全部ではないのです。例えば、石器時代の道具といえば、石器がすべてと思われがちですが、同時に木や骨で作られた道具も使われていた形跡があるのです。
つまり、わたしたちがいま地下から掘り出し、見ることのできる遺物は、当時使われていた物のうち、永年の腐食などに絶えてきた物に限られているのです。ですから木製や骨製の遺物は、その分貴重な遺物といえるでしょう。
修羅は、三ツ塚古墳の周濠の底に置かれていました。修羅のような木製品の大敵は、ぬれたり、乾いたりする状態が繰り返されることなのです。例えば、土に打ち込まれた杭で一番腐りやすいのは、杭が土に接している部分だということは経験的に知られています。周濠の底は、常に地下水が供給され、修羅は水漬けの状態に保たれていたため、今日まで保存されてきたのです。
地下から出土した木製品は、ほぼ原形を保っていることがあります。しかし、そのまま乾燥させると、形や大きさがくずれ、ひどいときには粉末になってしまいます。これは木製品に含まれている水分が乾燥するときの表面張力の仕業なのです。
このような変形を防ぐために、保存処理が必要となります。木製品の保存処理は北欧で開発され、実用化されました。木製品の保存処理には(1)アルコール・エーテル法 (2) ポリエチレングリコール法 (3)真空凍結乾燥法などが考案され、出土遺物の状態によって、いずれかの方法が採用されています。
修羅の保存処理にあっては、(2)のポリエチレングリコール法が採られることになりました。ポリエチレングリコールは、身近なものでは口紅のスティックの主原料に使われている無色透明、無臭の水溶性の樹脂で、温度を上げれば液化し、逆に下げれば固化するという性質をもっています。この性質を利用した保存処理では、摂氏60度以上のポリエチレングリコール水溶液に木製品を浸し、木材に含まれている水分を交換しようとするものです。水溶液の濃度を徐々に上げ、100%水分をポリエチレングリコールに置換し、温度を下げて固化するのです。

写真:保存処理中の大修羅(元興寺文化財研究所提供)

『広報ふじいでら』第256号 1990年9月号より

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