「百舌鳥・古市古墳群」の価値(ふじいでら歴史紀行49)
更新日:2016年03月31日
「マンマミーア!」
イタリア、ローマ大学パオラ・ファリーニ教授は、堺市の百舌鳥古墳群を見学され、その雄大な古墳と古墳から偶然姿を現した愛らしい狸を見て思わず声をあげられました。パオラ・ファリーニ教授は、イタリア国内において数多くの世界遺産登録に関わられたかたで、来日の折に、「百舌鳥・古市古墳群」の世界遺産登録への課題を探るために百舌鳥古墳群の見学の途中でした。

百舌鳥古墳群視察中のローマ大学パオラ・ファリーニ教授
午前中は、堺市の百舌鳥古墳群を足早に見学した後、午後からは古市古墳群を見学されました。古市古墳群では、応神天皇陵古墳の拝所から、大鳥塚古墳を歩き、古室山古墳の墳頂に登っていただき前方後円墳を体感していただきました。この時には、「知れば知るほど“すごい。すごい。"と感じた。また来たい」「十分に世界遺産の資格のある資産で、見応えがあった」との感想をいただきました。また近つ飛鳥博物館を見られたあとは、「想像していた以上に充実した資料の作成、あるいはそれにつながる研究というものがなされていることに驚き、感動した」との感想をいただきました。昨年11月に再び藤井寺を訪問され、「百舌鳥・古市古墳群」の世界遺産登録についてさまざまな御意見をいただきました。
わたしは、藤井寺にお住まいの皆さんが、いつも身近にありすぎる古市古墳群の凄さ、素晴らしさに気付かないことが多いように感じることがあります。数多くの世界遺産登録に携わった教授の率直な感想に、「百舌鳥・古市古墳群」の持つ潜在的な価値の凄さと世界遺産への強い可能性を見出したのは、わたしだけでしょうか。
平成22年11月22日の世界遺産暫定リストに登載された「百舌鳥・古市古墳群」の説明(英文)を簡単に要約すると次のように書かれています。
3世紀後半~6世紀末の日本列島には、前方後円墳を頂点とする古墳が、20万基以上も築造されました。古墳は規模や形態によって階層性を示し、強力な政治的意味を持つ記念工作物です。これらの古墳の規模・形態・意匠に当時の政治・社会の構造・関係を反映するという独特の文化的伝統が形成され、特に「古墳時代」と呼ばれています。
百舌鳥・古市古墳群の重要な特徴として、古墳群そのものが当時の政治的構造を表している点が挙げられ、多様な古墳の構成・分布には、当時の政治・社会的な階層構造が反映されたことが伺えます。百舌鳥・古市古墳群は古墳時代を代表する古墳群の事例で、顕著な普遍的価値を持つ意義のある資産であると記されています。
また、海外の世界遺産の資産と比較しても、墳丘の面積で世界最大の墳墓を含む古墳群であることやさまざまな大きさ・墳形の古墳も数多く含まれ、古代国家形成期における日本列島の社会構成を反映していること、今なお墓所としての静安と尊厳が保持されているという特徴を持っていることが挙げられ、わたしたちの身近にある「古市古墳群」が世界遺産として遜色ない資産であることが示されています。
(世界遺産登録推進室 山田)
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