「誰か」のことじゃない。~いろいろな人権問題~

更新日:2021年11月17日

「人権」とは、何でしょうか。

 

生まれるとともに人ゆえに持っているもの

空気のように見えないけどなくてはならないもの

あなたがあなたらしくいるためにあなたを守ってくれるもの

 幸せに生きるために、全ての人に「人権」は保障されています。しかし、「人権」が脅かされる出来事が社会には数多くあります。
 もし、あなたやあなたの周りの人の人権が脅かされ、つらいことが起こったら、あなたはどう感じますか。全ての人が幸せに暮らせるよう、お互いを尊重し合い、社会にあるいろいろな人権問題を自分自身の問題として捉え、行動していくことが大切です。
 

いろいろな人権問題

 人権問題は日常生活の身近なところで起こっていて、決して他人事ではありません。ここに掲げる人権問題に限らず、あらゆる人権問題は根底でつながり、存在しています。

知りたい人権課題をクリック(タップ)してみてください。

女性の人権

子どもの人権

高齢者の人権

障害者の人権

部落差別

外国人の人権

性的マイノリティの人権

インターネット上での人権問題

アイヌの人々の人権

ハンセン病回復者・感染症患者の人権

拉致問題

貧困問題

ホームレスの人権

犯罪被害者の人権

刑を終えて出所した人々の人権

様々な災害に起因する人権

人身取引

平和問題

女性の人権 

 男女の完全な平等と、女性に対するあらゆる差別を撤廃することを基本理念とした「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」は、1979年に国連総会において採択され、1985年に我が国も締結しました。
 我が国では、平成11年に「男女共同参画社会基本法」が施行され、性に関わらず、人権を尊重し、全ての人があらゆる分野で、個性と能力を発揮できる男女共同参画社会の実現に向けて、様々な取り組みが進められてきました。
 しかし、男女共同参画や女性の人権に関する理解や認識は、社会に浸透しているといえない現状があり、意識啓発のための取り組みを、より一層推進する必要があります。さらに、DV(ドメスティック・バイオレンス)、セクシュアルハラスメント、ストーカー行為、性暴力など、被害者の多くが女性である暴力行為は年々増加傾向にあり、深刻化しています。
 それらの暴力の背景には、男女の不平等な関係や性的役割分担意識が根強く残る社会構造があり、問題の解決に向けて意識や固定観念の変革が必要とされています。

子どもの人権

 全ての子どもの生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利を、国際的に保障することを定めた「児童の権利に関する条約」は、1989年に国連総会において採択され、1994年に我が国も締結しました。
 その後、我が国の子どもを取り巻く社会環境は、少子高齢化及び核家族化の進行や、インターネットやスマートフォンの普及をはじめとする情報化の進展により、地域社会における繋がりが希薄化しています。
 その結果、家庭や地域において、教育をはじめとする子育てへの支援機能が低下し、子育てへの不安や負担が大きくなっています。また、経済情勢が厳しい中、子育て家庭にかかる経済的負担も増大し、こどもの約7 人に1人が貧困状態にあり、健康で文化的な生活を送ることが困難な状況だと言われています。
 このような環境の変化を背景として、子どもたちの間では陰湿ないじめが発生し、家庭においては児童虐待による様々な痛ましい事件も増加しています。また、スマートフォンの普及により、SNSを起因とした児童売春や児童ポルノ等の性犯罪に子どもが巻き込まれるなど、子どもの人権や尊厳をめぐる問題が深刻化しています。
 子どもは社会を構成する大切な存在であり、おとなと同様に最大限に人権が尊重されなければなりません。そのためには行政のみならず、家庭、地域、学校等が連携を深め、一体となった取り組みを推進していくことが大切です。

高齢者の人権

 住民基本台帳に基づく人口 2020年1月1日現在)に達し、総人口の27%を超え、世界で最も高い水準となっています。
 本市においても、65歳以上の人口は、18,211人(本市住民基本台帳に基づく人口 2020年1月1日現在)となり、人口の28%を超える超高齢社会に突入し、今後も高齢化率が上昇すると考えられることから、就労意欲を有する高齢者が、知識や経験を活かして、生き生きと活躍できる社会を実現することが重要となってきます。
 一方で、一人暮らしの高齢者、認知症高齢者、要介護高齢者の増加に伴い、介護負担の増加等を原因とした家庭内の高齢者虐待や、本人の承諾なく財産権を侵害する事件など、高齢者に対する人権侵害が大きな問題となり、2006年には、「高齢者虐待の防止、高齢者の擁護者に対する支援等に関する法律」(高齢者虐待防止法)が施行され、高齢者の虐待発見時の通報義務等が定められました。
 しかし、今なお高齢者を狙った悪徳商法や詐欺など、財産を脅かす事件が横行し、高齢者に対する入居拒否等の差別事象も生じていることから、高齢者の人権を擁護するための取り組みを充実させていく必要があります。
 高齢者の人権が尊重されるためには、高齢者の生きがいづくりや、社会参加を促す機会を増やす取り組みが必要であり、地域や行政が協働して高齢者を見守り、相談支援活動を推進することが大切です。

障害者の人権

 2006年の国連総会において、「障害者の権利に関する条約」が採択され、2014年に我が国も締結しました。この条約は、障害の有無に関わらず、全ての人が同じように参加できる社会の実現を目指しています。
 2016年には、同条約の理念に基づいて、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(障害者差別解消法)が施行され、障害を理由として不利に扱う「不当な差別的な取り扱い」の禁止や、様々な社会的な障壁や困難を取り除くための調整とされる「合理的配慮」の提供について定められました。
 同法が目的とする、障害の有無によって分け隔てられることのない共生社会の実現のためには、社会全体に数多く存在する障壁や合理的配慮について、一人ひとりが理解や認識を深め、障害のある人への差別や偏見の解消に向けて、意識改革を行っていくことが重要です。
 そして、障害の有無に関わらず、全ての人が安心して生きることができる社会は、行政の施策だけで実現できるものではなく、地域や民間事業者、関係機関・団体の協働した取り組みが求められています。

部落差別

 部落差別は、日本の歴史過程において形成された身分制度により、被差別身分におかれてきた人々が、経済的、社会的、文化的に差別を受け、今なお、住む場所、就職、結婚など、日常生活の様々な場面において差別を受けている問題です。
 部落差別は人間の自由と平等を侵害する行為であり、これまでも国や地方公共団体が連携し、部落差別の解消に向けた様々な施策が行われてきました。地域における自主的な努力もあり、生活環境の改善等の物理的な整備については、一定の改善が見られるものの、部落やその住民、出身者に対する差別意識は根強く残っている実態があります。
 また、部落差別は時代の変遷に伴って様々に形を変えて存在しており、社会の情報化が加速する中、インターネット上では、部落差別を助長、誘発する悪質な情報の摘示や拡散など、人権擁護上、許されない事象が起こっています。
 それらを踏まえて、2016年には、「部落差別の解消の推進に関する法律」が施行され、部落差別は許されないものであるとの認識の下に、部落差別のない社会の実現に向けて、相談体制の充実や、地域の実情に応じた教育及び啓発を行うことなど、国や地方公共団体の責務について定められました。
 この法律の理念を十分にふまえ、部落差別の解消に向けて、差別をはじめとした人権侵害に対して行政が適切な対応を行うとともに、一人ひとりが根強く存在する偏見や忌避意識を解消し、自分自身の問題として考えていく必要があります。

外国人の人権

 日本に居住する外国人は、総人口の2%を超える約288万人(中長期在留者及び特別永住者数 2020年6月末現在)となり、本市おいてはは、749人(本市住民基本台帳に基づく人口 2020年6月末現在)であり、外国にルーツを持つ日本国籍の人々も存在しています。
 かつて、在日外国人は歴史的経緯のある在日韓国・朝鮮人が多数を占めていましたが、今では外国人の出身国や背景も多様化しており、それに伴って、外国人の人権に関する問題も多様化しています。
 具体的には、言語、宗教、習慣等の相違から、外国人が地域社会において孤立したり、偏見を持たれたり、あるいは入居や入店が拒否される等の差別事象が起きています。また、特定の民族や国籍に対するヘイトスピーチ(不当な差別的言動)が、街頭やインターネット上で行われていることが社会問題化し、これらを受けて、2016年には、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」(ヘイトスピーチ解消法)が施行され、不当な差別的言動の解消に向けて、国及び地方公共団体の責務が定められました。
 さらに、2019年には、「大阪府人種又は民族を理由とする不当な差別的言動の解消の推進に関する条例」(大阪府ヘイトスピーチ解消推進条例)が施行され、人種又は民族を理由とする不当な差別的言動の解消を推進し、全ての人が違いを尊重し合いながら、共生することができる社会の実現に向けた施策を推進していくことが明記されました。
 現在、我が国における労働者不足を補うために、海外からの外国人労働者の受け入れが一層拡充されている状況等に鑑みても、外国にルーツを持つ人々が、地域社会において増加していくことが予想されます。
 今後、異なる国籍や文化的な背景をもつ人々が、お互いの存在を認め合い、尊重し合いながら暮らす共生社会の実現に向けて、正しい理解や認識を深めることがより一層求められています。

性的マイノリティの人権

 法務省の啓発教材によると、性自認や性的指向など、性のあり方が多数派と異なるとされる性的マイノリティは人口の3~5%は存在するとされています。性のあり方は多様であるにも関わらず、「人は出生時の性らしく生き、男性は女性を、女性は男性を愛することが普通である」といった固定観念や先入観により、性的マイノリティに対する偏見や差別が多く見受けられる現状があります。
 そうした偏見や様々な差別により、性的マイノリティの人々は傷つき、自分自身を理解してもらいたいと思っていても、誰にも打ち明けられず、悩みや不安を抱えています。また、戸籍上で異性のパートナーでなければ、「家族」として扱われないことから、社会保障をはじめとした様々な制度上の困難にも直面しています。
 これらの問題を受けて、2019年には、「大阪府性的指向及び性自認の多様性に関する府民の理解の増進に関する条例」(大阪府性の多様性理解増進条例)が施行され、性の多様性を尊重し、全ての人が自分らしく生きることができる社会を実現するための施策を推進することが明記されました。
 今後も、性的マイノリティが直面する様々な問題の解消に向けて、私たち一人ひとりが性的マイノリティに関する正しい認識や理解を深め、性の多様性を尊重することができる社会を実現することが求められています。

インターネット上での人権問題

 SNSをはじめとするソーシャルメディアの発展により、コミュニケーションが便利になる一方で、インターネット上では、特定個人や団体に対する中傷や侮蔑、根拠のない無責任なうわさの書き込み等の人権侵害事象が起こっています。
 特に、特定の民族、国籍の人々を排除するヘイトスピーチや、部落差別を助長、誘発する情報の摘示や拡散等の事象が後を絶たずに発生しています。また、プライバシーや名誉権の侵害となる情報の流布や、保護者や教員の知らないウェブサイトやアプリによるいじめ等の人権侵害事象のほか、未成年者がインターネットを通じて、性的被害や暴力行為に遭う等の犯罪行為も多発しています。
 インターネット上に溢れる様々な人権問題に対して、一人ひとりが適正な対応を行うためには、誤った情報を見抜く力を養うための学習機会の提供や、正しい理解や認識を深めることが何よりも大切です。

アイヌの人々の人権

 1997年に、アイヌの人々の文化や伝統について普及啓発していくことが定められた「アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律」が施行され、2019年には、アイヌの人々を日本の先住民族と明記した「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」が施行されました。
 アイヌの人々の人権問題は、我が国だけの問題ではなく、世界中の先住民族等の人権問題に結びつくものであるという認識を、私たち一人ひとりが持つことが大切です。また、一人ひとりがアイヌの人々の文化や習慣に対する理解を深めていくことが求められます。

ハンセン病回復者・感染症患者の人権

 ハンセン病は「らい菌」による感染症ですが、人から人にうつることは極めてまれで、仮に感染してもほとんど発症することはなく、たとえ発症したとしても、早期に発見し適切な治療を受ければ完治する病気です。
 もともと隔離を必要としない病気であったにもかかわらず、日本では過去、誤った法律に基づいて、ハンセン病患者を強制的に療養所に収容したことにより、社会にハンセン病に対する偏見や差別意識がもたらされました。その結果、ハンセン病患者本人のみならず、家族、親族までもが耐え難い苦痛や苦難を受けました。
 1996年に、「らい予防法の廃止に関する法律」が、2009年には、「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」が施行され、ハンセン病回復者が社会と交流を深めながら、自立した社会生活を送ることができるよう、法に基づく取り組みの推進が求められています。
 2019年には、「ハンセン病元患者家族に対する補償金の支給等に関する法律」が施行され、更に、「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」において、名誉権の回復の規定対象に家族を追加する改正が行われるなど、国は新たな法整備及び補償措置を講じるとともに、過去の過ちを認め、謝罪しました。
 また最近では、新型コロナウイルスに感染した患者やその家族、医療従事者等に対して、根拠のない情報による侮蔑や差別等の人権侵害事象が後を絶たずに発生しています。ハンセン病や新型コロナウイルス感染症など、様々な感染症に対する偏見や差別は、ほとんどが科学的な知識不足によるものです。
 感染症に対する不安や恐れが社会に蔓延する社会情勢下においても、お互いを尊重することが大切です。

拉致問題

 1970年代に、多くの日本人が不自然な形で行方不明となる事象が多発し、これらの多くは北朝鮮当局による拉致の疑いがあることが判明したため、政府は機会があるごとに問題提起してきました。
 その後、2002年に行われた日朝首脳会談において、当局側は日本人の拉致を認め、謝罪し、5名の拉致被害者の帰国が実現したものの、他に認定されている拉致被害者の情報は、今なお十分に提供されておらず、安否不明の状態となっています。
 拉致問題は国際社会における重大な人権侵害であるという認識を深め、決して許されないものであるという社会意識の熟成が求められます。

貧困問題

 我が国の経済政策における構造改革により、雇用や就業をめぐる環境の多様化に伴って、不安定な雇用や低収入により困窮し、働いていても健康で文化的な生活を営むことができない人々が急増する等の貧困問題が大きな社会問題となっています。
 具体的な原因は、非正規雇用労働者の割合が、労働者の4割を超える等の雇用環境の悪化や、市場経済競争の激化による大量の失業者の発生等により、経済的格差が一層拡大していることが挙げられます。
 貧困問題の解決のためには、誰もが安心して暮らすことができるセーフティネットを構築するための法整備や救済制度の拡充等が重要です。また、私たち一人ひとりがこの問題に関心をもち、他人事ではなく社会全体の問題として考えることが大切です。

ホームレスの人権

 自立の意思があるにもかかわらず、失業や病気などのやむを得ない事情により、特定の住居を持つことができず、路上生活を余儀なくされ、憲法で保障されている健康で文化的な生活を送ることができていない人々がいます。
 このようなホームレスと地域の人々との軋轢が生じ、ホームレスに対する嫌がらせや暴行等の人権侵害事象が起こっています。
 ホームレスが自立して生活することができるよう、地域社会全体でホームレス問題に関する認識や理解を深めることが必要です。

犯罪被害者の人権

 様々な犯罪行為による被害により、生きる権利を奪われた犯罪被害者や、その家族の人権が擁護されない問題が起こっています。
 犯罪被害者は、精神的なショックや身体の不調により、積極的に被害を訴えることが困難であり、経済的に困窮することも少なくなく、また、マスメディアによる過剰な報道や、SNSをはじめとするソーシャルメディア上での誹謗中傷により、様々な人権侵害を受ける事も少なくありません。
 被害者の人権を擁護するために、私たち一人ひとりが理解を深めていくことが重要です。

刑を終えて出所した人々の人権

 刑を終えて出所した人やその家族に対する偏見や差別意識は根強く、地域社会から受け入れを拒否され、就職や入居等に関する差別を受け、社会復帰をめざす人々にとって極めて厳しい現状があります。
 刑を終えて更生した人々が、社会の一員として生活できるようなるためには、本人の強い更生意欲と併せて、家族はもとより、職場や地域社会の理解と協力、そして、一人ひとりの偏見や差別意識を解消することが必要です。

様々な災害に起因する人権

 2011年に発生した東日本大震災をはじめとする様々な災害による被災者が、風評被害を受けたり、避難の受け入れを拒否されたり、避難先において偏見にあったり、いじめられる等の人権侵害を受けています。
 このようないわれのない偏見や別、誹謗中傷は、被災者の尊厳を傷つける行為であり、決して許されません。
 一人ひとりが災害被害等に関する正しい知識を習得し、お互いを尊重する心を育てていくことが必要です。

人身取引

 「人身取引(トラフィッキング)」とは、暴力や脅迫、誘拐、詐欺などの「手段」を用いて、性的搾取(売春や性サービス)や強制的な労働をさせるために、対象者を獲得したり、引き渡したりすることをいいます。
 被害の実例として、恋愛感情を利用され他人との援助交際を強要される、借金返済のために売春を強要される、児童が性的サービスを強要される、パスポートを取り上げられ強制労働させられるなどがあります。
 令和2年に警察が認知した被害者数は37人、検挙した件数55件は、検挙した被疑者58人でした。
 このような性的搾取、強制労働等を目的とした人身取引は、重大な犯罪であり、基本的人権を侵害する深刻な問題です。

平和問題

 世界中の人々の権利を侵害した二度の世界大戦の反省から、1945年に国連が設立され、戦争のない恒久平和の実現のためには、人権の尊重が何よりも重要であることが国際的な認識となりました。
 その後、国際社会の平和と安全維持のための様々な取り組みが行われましたが、今なお、世界各地では、民族や宗教等の相違や、様々な利害による紛争が絶えず、核兵器や核弾頭も依然として存在しています。
 戦争のない平和で安全な社会を守るために、絶対悪である核兵器の廃絶に向けた機運を高め、次世代を担う若い人々に対して、戦争の悲惨さや平和の尊さを継承していくことが大切です。

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