長持形石棺のこと

柏原市松岳山古墳の石棺(柏原市教育委員会)

柏原市松岳山古墳の石棺
(柏原市教育委員会)

今回は前回の続きで、長持形石棺のことについてお話したいと思います。
形の特徴は初めの津堂城山(つどうしろやま)古墳の石棺のところで詳しく述べたとおりで、石材には組み合わすための溝、または段を作るものが多くみられます。
石材の種類は現在わかる畿内の資料でみますと、兵庫県加古川流域から産することが知られている「竜山石(たつやまいし)」という凝灰岩(ぎょうかいがん)を用いることが多いことがあげられます。
発掘調査によって確認されたものはありませんが、この石棺のモデルである木棺、長持形木棺と呼べるものがあった可能性が考えられます。
小口部に認められる方形突起はこの木棺の木板に貫通した方形の穴に木栓を挿入した形態に近いことが指摘されています。
長持形石棺の初現を示す資料としては、隣市の柏原市国分にある松岳山(まつおかやま)古墳の組合せ式石棺があげられます。蓋石が蒲鉾(かまぼこ)形をしていないこと、小口部の方形突起が認められないことをのぞけば典型的な長持形石棺の構造そのものです。
詳しい説明は省きますが、この石棺は実際に見学できますので、ぜひピクニックがてらご覧になってください。(急な斜面がありますので、気をつけて登ってください)ただし、その際には所有者の国分神社に一声かけてから古墳に登ってください。
なお、所在地がよく分からないかたは、文化財保護課までお問い合わせください。
藤井寺市付近ではほかに、出土地が明確ではありませんが、羽曳野市誉田(こんだ)八幡宮所在の長持形石棺があります。
また、実見できませんが、羽曳野市と藤井寺市の境にある墓山(はかやま)古墳後円部にあるというもの、堺市大仙(だいせん)古墳(伝仁徳陵)前方部に埋まっているものがあり、どれも巨大古墳にかかわるものと考えられます。
最後に長持形石棺についての興味深い説を紹介します。それは倉敷考古館の真壁夫妻が発表されたもので、この石棺の分布は王権を象徴するというよりも、「葛城氏(かつらぎし)」との深いかかわりをもつもの(大王を含む)のみ使用が許された、一種の身分を表す葬法ではないかと述べられています。

教育広報『萌芽』第11号:平成7年7月号より

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